四季折々に美しい景観を織りなし、砺波平野に水の恵みをもたらしてきた清流・庄川。
良質な木材を使い、木工職人が長い時間をかけて、
一つひとつ丁寧に仕上げる質感豊かな「庄川挽物木地」。
使いこむほどに味わいを増し、
富山の暮らしに根付いてきました。
History庄川挽物木地にかかわる歴史
岐阜県北部および富山県西部を流れる「庄川」。雄大な山々に囲まれたこの一級河川が、「庄川挽物木地」の発展に大きく関係しています。
始まりは、慶応2年。庄川では天正年間藩政期から、加賀藩の用材調達のための流木事業が行われていました。さらに北陸随一の貯木場があり、良質な木材が多く集まる場でもありました。この地にひとりの木工職人が工房を開いたことが、「庄川挽物木地」が誕生したきっかけと言われています。
かつて富山県西部(現砺波市)には、“蔵を建てること”と“報恩講のための上質なお椀を揃えること”が一人前の証とされた風習がありました。普段は質素に生活し、いざというとき豪華に振る舞う。そのための地道な日々の働きを、こつこつと積み重ねていく。そんな人々の思いに応えようと、職人たちは懸命に腕を磨いてきました。伝統の根底には、富山の人々の堅実な気質があるのです。
庄川挽物木地は、ろくろを使用して加工を行います。初期の頃には人力や水車を使い、ろくろを挽いていました。町内のあちこちにある工房から、木地を削る音や挽く音が聞こえてきたといいます。伐採から削り出し、または漆塗りまでの全工程を一人で行うのが、庄川挽物木地の職人の仕事。原木を仕入れて乾燥させ、白木地に仕上げるまでに約1年、ものによってはそれ以上の歳月を要するものもあります。
白木地の製品は全国の漆器産地へ送られ、また拭き漆の塗装が施された製品は「庄川挽物木地」の逸品となります。木の文化を大切にしてきた日本人らしく、どちらの製品も美しい杢目を生かした独特の温かみがあります。手間ひまかけて、地道な手仕事を長い年月継続してきた、富山の人の誇りを感じずにはいられません。
Spot庄川挽物木地にかかわる場所
庄川の伝統工芸、文化に触れる 庄川水記念公園
園内にある「庄川特産館」では庄川挽物木地の展示・販売のほか、庄川木工ろくろ実演・体験(要予約)ができます。「庄川ウッドプラザ」では、木工のおみやげ品や特産のゆずソフト、自家焙煎コーヒーなどを楽しむことができます。
庄川挽物木地の器でランチを楽しむ 道の駅 庄川
地元農家さんの新鮮な野菜や果物、庄川に根付く工芸品などを購入することができます。フードコートでは、「庄川挽物木地」と「越中三助焼」の器にてランチを提供しています。