特集Special Reports
富山の暮らしには、独特の質感があります。
たとえば、秋。
朝晩の風が心地よくなるころ、稲穂は色づき頭を垂れる。
年に一回の稲刈りは、家族総出で田んぼへむかう大仕事。
ふと顔をあげると、足もとには刈り残されたトゲトゲの稲株がならぶ。
春から手塩にかけて育ててきた分、愛おしさがひとしおに身にしみる。
冬がくるまで、つかの間の穏やかな気候のなか、
作物の無事の収穫を祝い、各地で行われる祭礼。
暮らしのなかにある「農」が、
人の心を豊かにすることを富山の人は知っている。