波が穏やかな新月の夜。
「そろそろホタルイカがくるね」と、どこからともなく声があがる。
短い旬の間、ホタルイカ料理を毎晩のように食卓に並べて楽しむのが富山流。
とにもかくにも「食べなければ春がはじまらない」
富山の春の風物詩。
Historyホタルイカにかかわる歴史
富山の春の食卓を彩る、ホタルイカ。
富山湾のホタルイカは大きくまるまる太っているのが特徴で、ゆでたてのぷっくりした身の食感と、トロリと濃厚な味わいのワタが絶妙です。家庭での定番料理は、菜の花やわけぎなど風味のある野菜をそえていただく「酢みそあえ」。素材の旨味をいかしながら、手軽にさっぱりといただけます。
ホタルイカは水深200〜600mの深海に生息しており、春になると産卵のため海面近くまであがってきます。これは富山湾特有の現象で、滑川から魚津にかけての群遊海面は特別天然記念物に指定されています。
富山のホタルイカの漁期は3月から6月まで。海岸から急に深くなる富山湾独特の地形をいかし、岸近くまで産卵にやってきたメスを、胴体をいためない「定置網」によって漁獲します。そのため漁獲量は他県と比べると決して多くないですが、ツヤがあり新鮮で、ふっくらとうま味のあるホタルイカを愉しむことができるのです。
地元の人が春の風物詩として楽しみにしている「ホタルイカの身投げ」。産卵を終えたホタルイカが砂浜やテトラポットに打ちあげられます。最近はあまり見られなくなってしまいましたが、地元の人は岸近くまで打ちよせるホタルイカを、バケツと網をもって拾いに行き、すぐさま「釜あげ」に。茹でたてホカホカのホタルイカを味わえるのも地元ならではの特権です。
ホタルイカの身投げは、新月前後、波が穏やか、海中がきれいなどいくつかの条件がそろった日のみ現れると言われていますが、なぜ富山湾の海岸にあがるのかなど、今だ多くの謎に包まれています。小さな魚体にたくさんの発光器をもち、夜明け前の海面を青白い神秘的な光が漂う光景は、とても幻想的です。
Spotホタルイカにかかわる場所
触れて学べる ほたるいかミュージアム
漁獲シーズンにはホタルイカの発光ショーが見られる「ライブシアター」など、ホタルイカの生態や富山湾の神秘について楽しく学べる、体験型のミュージアムです。雄大な海を目の前に眺めながら、ホタルイカやシロエビなど富山の海の幸を愉しめるレストランもおすすめです。
富山だけの特別ツアー ほたるいか海上観光
早朝の滑川漁港を出航し、定置網でのホタルイカ漁を間近で見学できます。漁場と港が近いからこそできる、富山湾ならではの人気観光船です。海上で青白い光を一斉に放ちきらめくホタルイカの群れは、とても幻想的。ご興味のある方は事前のご予約をお願いします。
お問い合わせ:滑川市観光協会(ほたるいか海上観光部)
076-476-9200
Productsホタルイカの商品紹介
幸のこわけ ほたるいか燻製
濃厚でコクのある味わいは、日本酒やビールとも好相性。富山湾で獲れる新鮮なほたるいかを、潮の香りをそのままに、独自の製法でスモークしたこだわりの逸品です。
幸のこわけ ほたるいか粕漬
調味した酒粕にほたるいかを漬け込んだまろやかな味わいの粕漬です。酒粕は名水百選に選ばれた黒部川扇状地湧水群のある黒部市の酒蔵の大吟醸酒粕を使用しています。